明日遊ぶ猫

献血しながらサブ3.5の文化系ランナー。

コンビニ人間 (文春e-book) (Japanese Edition) by 村田沙耶香を読みました。

コンビニ人間 (文春e-book) (Japanese Edition) by 村田沙耶香を読みました。
この作品は第155回(2016年上半期)芥川賞を受賞した作品です。作者の村井さんは2003年「授乳」にて第46回群像新人文学賞(小説部門・優秀作)、09年「ギンイロノウタ」にて第31回野間文芸新人賞、13年「しろいろの街の、その骨の体温の」にて第26回三島由紀夫賞を受賞されているベテランの作家さんですね。


主人公は大学卒業後、就職せず、コンビニのバイトは18年目続けている36歳未婚女性(古倉)です。長くコンビニの店員を続けており周囲から「なんで結婚しないのか」「なんでアルバイトを続けているのか」といった無遠慮な詮索を受けことが多くなってきています。彼女がコンビニ定員を続けていたことには理由があり、幼いころから自分が<普通>ではないと感じていることに起因しています。



こういうことが何度もあった。小学校に入ったばかりの時、体育の時間、男子が取っ組み合いのけんかをして騒ぎになったことがあった。 「誰か先生呼んできて!」 「誰か止めて!」  悲鳴があがり、そうか、止めるのか、と思った私は、そばにあった用具入れをあけ、中にあったスコップを取り出して暴れる男子のところに走って行き、その頭を殴った



コンビニでは業務のほとんどがマニュアル化されていますから、古倉にとってコンビニ店員を続けることは自分が<普通>であることを実感できる場となっています。彼女が独創的な考えを持っていても、彼女の周囲の人々はその考えを知ることはありません。彼女はマニュアルによって<普通>を手に入れることができたといえます。一方であまりにも長くコンビニ店員を続けていたことから次第に前述の好奇の質問を浴びせられることになります。こういった<普通>の人たちによる詮索、<正常でない>ものたちへの社会の残酷さというものが表現されています。



『勘弁してくださいよ……。バイトと無職で、子供作ってどうするんですか。ほんとにやめてください。あんたらみたいな遺伝子残さないでください、それが一番人類のためですんで』 「あ、そうですか」 『その腐った遺伝子、寿命まで一人で抱えて、死ぬとき天国に持って行って、この世界には一欠けらも残さないでください、ほんとに』 「なるほど……」  



彼女(古倉)さんの思いはこういった<普通>の人たちが要求する<普通になれ>という圧力ことが、異常ではないかと考えさせるものになっています。


該当の記事は見つかりませんでした。