明日遊ぶ猫

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インパラの朝/中村安希 著 感想

インパラの朝/中村安希 著 を読みました。

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日 (集英社文庫)

 

本書は著者が、東南アジア・中東・アフリカを放浪したときの記録である。その日数は延べ684日。この旅は旅行といった生やさしいものではなく、バックパックを背負って、野宿なども行いながらの貧乏旅行である。

 

彼女は実際の眼でみた世界の状況を非常に興味深く読んだ。

 

国境を越えるために偽装結婚までして、また、女性として一人でパキスタンなどの紛争地域にも向かっている。ジンバブエでは強盗に顔面を殴られている。本当に怖いもの知らずだ。

 

彼女が実際に眼でみたルポを読んで感じたことは、アフリカや東南アジアに実際に今でも支援を必要としているのだろうけど、本当に必要な支援が行き届いているのかどうかということである。

 

P239
先進国は、アフリカや途上国へどんどん踏み込みインフラ整備を手伝って、資源の獲得と未来市場の開拓に汗を流して取り組んでいく。そしてテレビを設置して、欧米の暮らしを宣伝し、物があるということがどれだけ豊かなことなのか、物を持たないアフリカ人が、どれだけ惨めで貧しいのか熱を込めて教育していく。

 

P243
黒く曇った街を歩けば、あっと言う間にメガネが曇り、黒くなった鼻の穴からヘドロの玉が転がり出てきた。途上国で壊れた車や家電製品は行き場を失い、森や砂漠に捨てられたまま、醜態をさらして朽ち果てた。一部はスラムの住宅街で、鉄くずとなって錆び付いて、漏れ出したエンジンオイルが大地に染み込み汚泥をつくった。

 

 

彼女が実際に現地で眼にした現状は真に迫っている。アフリカは確かに貧しいが、生活の面ではたくましさを持っている。

 

P247 ニジェール「善意とプライド」
私はアフリカへ行くにあたって、一つの構想を立てていた。アフリカへ行って貧困と向き合い、現地の惨状を確認し、世界に現状を知らしめて共感を得ようと計画していた。アフリカの貧困を見極めて、貧困の撲滅を訴えて、慈愛に溢れる発送を誰かに示すはずだった。先進国の豊かな知恵を貧しい人に紹介し、不幸そう人を探して幸福を与える夢を描いた。けれど、あてがはずれてしまった。なぜなら、予想しいていた貧困が思うように見つからなかったからだ。想像していたほど人々は不幸な顔をしていなかった。

 

P247 ニジェール「善意とプライド」
アフリカは教える場所ではなくて、教えてくれる場所だった。助けてあげる対象ではなく、助けてくれる人々だったアフリカは貧しい大陸ではなく、圧倒的な豊かさを秘めた、愛されるべき大陸だった。

 

いま豊かとされている日本でも貧困の問題がよく聞かれるようになった。日本ではセイフティーネットがあるので著しい問題は発生しないと考えられているのだけど、考え方によっては日本の方がシビアな現実があるのかもしれないと感じた。アフリカには「みんなの家、みんなのお金、みんなのご飯」がある。でも、日本では都市部でも孤独死がおこる、また年間3万人を越える自殺者がいる。

 

著者はアジアやアフリカでたくさんの地域の人々にご飯をもらっているし居住地を提供してたくさんの出会いを得ている。私たちが先進国として得た価値とはなんであるかを考えさせられた。

 

また、著者がこのような旅ができることに純粋なうらやましさを感じた。僕は挑戦をするには、護るものも増えてきたし、年もとってしまった。僕は26歳の日からもう8年も経ってしまった。

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